Block Rockin’ Codes

back with another one of those block rockin' codes

IETF89 で #http2study の話をしてきました。

Intro

2014/3/2 ~ 3/7 にイギリスのロンドンで実施された IETF89 に参加し、HTTP2 について議論している httpbis というワーキンググループで、日本での HTTP2.0 に関する Local Activity (コミュニティ活動とその成果)について発表してきました。

IETF

IETF は、ネットに関わる「Wire より上、Application より下」のレイヤの標準仕様などを決める標準化団体です。 IETF には、さらに目的に特化した WG(Working Group) に分かれており、最近自分が取り組んでいる HTTP2 はこの IETF の中の httpbis という WG で議論されています。

今回色々な方の助けもあり、幸運が重なって、初めて IETF に参加することができました。

とりあえず旅行記的に書いてみます。

-2日目(出発)

日本での土曜の早朝の便なので自宅からは始発でもキツイ、ということで前日終電で羽田に入り、空港で一晩明かすことにしました。 結構人がいる静かな空港のカフェで、ひたすらスライドとコードを書きます。

飛行機に乗ったら離陸と同時に爆睡。 12 時間のうち 10 時間は寝て、 2 時間は "Kick Ass 2" を見てるうちに到着。 起きた時はイギリスの 8:00 くらいだったので、時差ボケ一切なく英国入りするという狙いは完全に成功しました。

-1日目(入国)

FB には書きましたが、「個人が趣味で IETF に参加する」というシチュエーション自体が怪しまれたのか、税関を通るのに苦労するという罠を何とか突破しホテルへ。

飛行場から Heathrow Connect (8.5ポンド)で行くつもりが、間違えて Express (21ボンド) を買ってしまい宿へ。快適でした(泣。

宿は会場から 2 駅離れた Baker Street 付近。普通のホテル。

近くにはでかい公園とかシャーロック・ホームズミュージアムとかあったけど、ほとんど観光せず。先に現地入りした方と合流。 IETF 大先輩な方々と、トルコ料理を頂きました。

0日目(New Commers Session)

IETF 開始の前日にあたるこの日は、参加受け付けをし、初心者向けのセッションへ。

New Commer は、受付で赤いリボンをもらうことができ、このリボンをつけている限りはみんなが優しく接してくれるそうです。

そして、 New Commers Session に参加。 IETF がどういう団体で、どういうプロセスで標準仕様を決めているのか、などなど細かいところまで教えてもらえます。(資料はまだ上がってないみたい) これ、凄い勉強になったし、噂の hum デビューしました。

(IETF では Rough Consensus を取るときに、挙手させるのではなく hum (ハミング) で大体の賛否を取ります。 要するに「hu~~~~」って感じでハミングして、だれが何に賛同しているかを見た目ではわかりにくくしている。)

その後 Orientation で IETF な方々や他の参加者と交流。意外と日本人が多い、特に大学生が多い。

ここで、今回参加しないと聞いていた WebSocket over HTTP2 の仕様作者さんが急遽参加していたことを知り、一緒に御飯を食べることに。

1日目(httpbis#1)

httpbis の一回目のミーティング。 このミーティングの最初の方が、自分達が話すターン。

今回の httpbis は、 Google の Hasan というピンクを着こなすオシャレガイにより、「スーツに Bowtie」というドレスコードが発行されていました。 実際、全員ではないけど Chair の Mark や Google の Martine, Will Chan などなど数人がスーツで出席。

俺は、 @ と一緒にスーツで登壇。

まず自分が #http2study などで行っている日本の Local Activity や、その成果としての hpack-test-case について話し、最後に @ が 4 月に書く予定の I-D (Infomational Draft) について話しました。

その後は、 Github の issue を Open Mic で話しながらみんなで閉じるという、 IETF の歴史からいうと結構先進的なワークフローで議論が進みました。

注目していた WebSocket over HTTP2 の話はあまり出ず。 hum をする機会はありませんでした。

ひと通り WG が終わったら、最後に全体向けのプレナリセッションがあり、今話題の Bitcoin の話とかあったのですが、その寸前に httpbis 議長の Mark が、地元の勉強会に出るらしいことを聞きつけ、自分だけそっちに行きました。

Mark のセッションは俺にとってはそんなに新しいことはなかったけど、会場からはかなり質の良い質問が沢山でていて、勉強会としては非常に良かったと思います。(電源が無いことは別として)

日本(の Otaku 文化)大好きなナターシャと、カウボーイ・ビバップ図書館戦争の話をしたりしながら、ひと通り飲んで帰宅。

2日目(social)

イギリスに来たら必ずやる「イングリッシュ・ブレックファースト」で朝食。

好きである。ちなみに紅茶派。

この日は特にミッションも無かったので、 WebRTC とか見ていたけど、席も後ろで殆ど見えず、ついていけなかったのでこのブログをひたすら書く内職。

夜は Social Event ということで会場から 30 分の博物館を貸しきってイベント。

もともとは、造船所だったっぽい。イギリスの歴史についての展示がメインでした。

楽しかったけど、腹ペコなのにフードが圧倒的に不足していて、割りと空腹なまま宿に帰って寝る。

3日目(httpbis#2)

httpbis の二日目。

初日同様に github の issue を片付けていく感じ。 メインだったのは Priority Leveling と、 TLSネゴシエーション周り。

終わり際に少し Mark に話をしたけど、「続きは土曜に」ということで断念。 (土曜は London の Mozilla で非公式の httpbis meeting がある。俺は出れない)

その後何人かで、 1日目に日本のアニメ話をした Natasha にパイの美味しいお店に連れてってもらい、たらふく食べる。

夜のロンドンをちょっと観光案内してもらいつつ解散して宿に帰り、この記事を書く。 また、徹夜で電車に乗り空港へ。

4日目(帰国)

朝の 5 時にチェックアウト。

100ポンド持って行った残りが、空港についてスタバで一杯飲んだ時点で 3 ポンド強の使い道を探るなどする。(空港でお土産を買えば、小銭全部+残りはカードみたいなのが出来たらしい。)

安眠確保のために、奮発してプレミアム・エコノミーに上げたけど、「あれだけ追加払ってもこんなものか。。」という程度だった印象。そうこうするうちに着陸。

そのまま空港で IETF での発表時に着た、およそ社員が会社に着ていくとは思えないドレス・スーツに着替えて出社。何事もなかったように日常にジョインしてターンエンド。

感想

やっぱりまだまだ英語力、特にリスニング力が足りないなぁと。

議論の内容が聞き取れないと自分がどんなにその技術や議題を理解していても、参加できないという現実。

以前 US で NodeConf に参加した時も同じことを思って、自分なりに色々訓練したつもりだったけど、まだまだダメでした。

この状況はもっと何とかする必要がありますね。

あと、標準化の世界は自分にとってはかなり未知で、その世界の仕組みについては標準化 Guy である @ さんとか @ さんに色々教えてもらえたのが幸運だった。

みんなミッションを持って来るので、俺のような趣味の延長で来たような人間がウロウロするのはあまり良いことでは無いのかもしれないけど、 @ さんの計らいで、たった 5 分でも日本のアクティビティーを世界に発信するという能動的な参加ができたのは、幸運だったし自分にとってはいい経験だったと思う。

この世界の人々は、「3月で予算が余ったから来たんですよテヘペロ」と口では言っておきながら、「コードを書く」という俺らが得意とする分野のもう一層隣にある、「標準化する」というレイヤから世界を良くしようという、熱意と正義感で貢献している人が集まっていて、とても良い刺激が得られました。

2015年11月には、 IETF が日本の横浜で開催されることが決定しているので、興味のある方は是非参加してみるといいと思います。

終わりに

肝心の HTTP2 の議論と動向については、次回の #http2study で報告します。

今回の旅で知り合うことができた、 WebSocket over HTTP2 のドラフト筆者である @hirano_y_aa さんと、ネットワーク・インフラのエキスパートである @kaname さんにも登壇をお願いしたので、かなり熱い話が聞けると思います。

最後に、ずっとお世話になりっぱなしだった @ さん、 @ さん、 @ さん。本当にありがとうございました。

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